過去の情事











プロトたちの結婚式から数日がたった。
Kがキッチンへ入っていくとメリッサがいた。








 


K「なにしてんの?」

メリッサ「この前ご馳走になったお礼に料理作ってるのよ。」

K「そうじゃねえよ。」







 

K「弟のこと、元さや狙ってるんだろ?」

メリッサ「・・・・べつにいいでしょ?Jとはお互い嫌いで別れたわけじゃないのよ。」

K「あんたにはあいつは似合わねえよ。」

メリッサ「なによそれ。」






 


メリッサ「別れたのだってあんたのせいじゃない。あんたが誘惑なんかしてくるから・・・。」

K「その誘惑に簡単に乗るような女だったからだろ。だからあいつはあんたに愛想つかしたんだよ。わかんねえのか?」

メリッサ「なによ!あんただって一度抱いただけですぐ私に飽きたくせに。」

K「俺と寝たときすでに処女じゃなかったもんな。相手はJでもなかった。」






 

 

マリアが廊下を通りかかる。
二人の声に立ち止まる。







 

マリア「 (Kちゃんと・・・メリッサさん?どうしてあの二人が・・・。) 」








 

メリッサ「それでもJのことは本気だった。いまもそうよ。私たちの邪魔しないで。」

K「どうせほかに男いんだろ?純粋ぶんなよ。あいつはもうわかってると思うけどな。」






 

K「あんたのそういうとこ、あいつは知っててつきあってやってるだけだよ。」

メリッサ「それでもいいわよ。私は取り戻したいの、あんたに奪われた恋を。」

K「恋ねぇ・・・。」

メリッサ「もうあんたの誘惑には二度と乗らないから。私に近づかないでよね。」







 

K「もうあんたに興味ねえよ。せいぜいがんばれ。無理だと思うけどな。」

メリッサ「こんなとこまであんたが出てくるとは思わなかったわ。」

K「ははっ。こうみえてあいつとは兄弟なんでね。」

メリッサ「知ってるわよバカ・・・。」









キッチンには和やかな笑い声が響いていた。
揃って食事をとるJたち。


メリッサ「こんな簡単なものしか作れなくてごめんね。あんまり料理得意じゃなくて。」

ヴィクトリア「おいしいよ~。ねぇJくん。」

J「うん。はじめて作ったにしては悪くないな。」

メリッサ「ホント?嬉しい~♪」


クレアがキッチンへやってきた。


ヴィクトリア「おかえりクレア。ご飯食べる?メリッサちゃんが作ってくれたんだよ~。」











クレア「食欲ないからいらない・・・・。」

ヴィクトリア「そう?おいしいのに。」

メリッサ「無理しなくていいよ~。思春期だしダイエットでもしてるのかしら?」

ヴィクトリア「クレア痩せすぎなんだからダイエットなんて必要ないのに~。」

クレア「・・・・部屋行くね。」










K「大丈夫か?」

クレア「うん・・・。」










その晩、Kがたずねたのはマリアの部屋だった。


K「マリア、俺だけど。入っていいか?」

マリア「Kちゃん・・・?どうぞ・・・。」











マリア「なにか・・・・用?」

K「今日、聞いてたろ?俺とメリッサの話。」

マリア「・・・・ごめんなさい。なんか深刻そうで声かけられなくて・・・・。」

K「いいんだ。いつか話さなきゃいけないと思ってたから。」







 

K「高校のとき、Jがメリッサと付き合いだして半年くらいかな。Jはうちに連れてきたりしてたから、俺も何度もメリッサには会ってたんだ。」

マリア「うん・・・。」

K「ある日俺はメリッサに相談を受けた。Jがなかなか手を出してこないって。もしかしたらホモなのかもって疑っててさw」

マリア「ありえないわよ・・・・。」

K「そうだなw でもメリッサは悩んでた。それで何度か相談に乗ってるうちに、いい雰囲気になって。メリッサと寝た。一度だけだけどな。」

マリア「・・・・・。」







 

K「そのあとメリッサから誘ったらしくて、JとはちゃんとHもできたみたいなんだけど、結局俺と寝たことがバレて1年で破局したってわけ。」

マリア「どうして私にそんな話・・・・。」

K「言ったろ。お前が好きだって。」







 

K「俺が真剣だってことわかってほしい。だからお前には変な誤解させたくないんだ。」

マリア「・・・・・。」

K「ちょっと俺、これからクレアの部屋に行ってくるけど、あいつのことは妹みたいにしか思ってないし、これからもなにもない。今日のあいつ、なんか変だから様子みにいってくるだけだ。」

マリア「うん・・・・。」

K「おやすみ。」

マリア「おやすみなさい。」






 

Kが部屋を出て行く。
マリアはその後姿を見送っていた。








 

マリア「 (Kちゃん・・・・・・。) 」












K「大丈夫か?」

クレア「・・・・・あんまり。」

K「Jのことか?」

クレア「もうわかんないよ。」







 


クレア「この前・・・・・キス・・・・されたんだ・・・・。」

K「あいつから?」

クレア「うん。私がマリアさんとあの人どっちが好きなの?って・・・・しつこく聞いてたら、怒って・・・・。」

K「 (あいつ相当たまってんな・・・・。抑制された感情が爆発したんだな。) 」










クレア「でもあれはからかっただけなんだって。お前みたいなガキに興味ないって・・・・。」

K「そっか・・・・。」

クレア「ちょっと期待してた自分がバカみたい・・・・。私・・・・なんかもうボロボロだよ・・・・。」

K「我慢すんな。泣きたいときはいっぱい泣け。」

Kがクレアを引き寄せて抱きしめる。






 

Kの胸にしがみついて泣き出す。
感情が一気に溢れ出し、涙が止まらなかった。
Kはしっかりとクレアの小さい体を抱きしめた。