おもわぬ再会

 


高校を卒業したユウナは短大を出て就職、サンセットバレーでOLをやっていた。








お昼休憩にセントラルパークへやってきたユウナ。


ユウナ「 (いつもはカフェでランチだけど、今月はお金足りないから公園で食べようかな~。たまには外で食べるのもいいよね♪) 」










セントラルパークには野外用のコンロなどが完備されており、材料さえ持参すれば誰でも調理ができる。
ユウナはホットドッグを作った。


ユウナ「 (これだとランチの半分以下だもんね。助かるな~。会社の人に見られたらちょっと恥ずかしいけどw) 」












ユウナ「 (は~おなかいっぱい!・・・・お?イケメン発見!) 」














男性が一人、チェスをしている。


ユウナ「 (あの顔どっかで・・・・・・。あれってもしかして、シン・オリーブ??) 」













シンは真剣な表情でチェステーブルに向かっていた。









 


ユウナ「 (あいつ、相変わらず顔だけはいいのね、もったいない。てかこんなところで何してるんだろ?) 」













数日後、ユウナは再び公園を訪れた。


ユウナ「 (今日もホットドック~。私もちゃんと料理勉強しないとな。仕事から帰ってくると疲れちゃってなかなか作れないんだよね~。) 」










ユウナ「いただきま~す。」


一人、昼食を食べるユウナ。
その横を若い男性が走り抜けた。












ユウナ「 (あれ?シンまたいる。) 」














シンは子犬と遊んでいた。
野良犬のようだ。
公園にはたくさんの人が集まり、よくランチなどをしているのでおこぼれをもらいに野良犬がやってくる。








 


昼食を食べ終えたユウナはベンチに座ってその様子を眺めていた。


ユウナ「 (犬好きなんだ?意外とかわいいとこあるじゃん・・・。) 」













翌日、ユウナは再び公園を訪れた。


ユウナ「 (また来ちゃった。なんか日課になりつつあるわね。) 」








 



ユウナ「 (今日はシンいないのか・・・・。ってべつに、関係ないけど。) 」














ユウナ「いただきま~す。(今日も作り過ぎちゃったな・・・。) 」











 



シン「おい。」
 
ドッキーン

急に声をかけられ心臓が飛び出そうなほど驚く。
見るとシンが後ろに立っていた。


ユウナ「は、はいっ?」

シン「俺もそれ食っていい?」

ユウナ「どうぞ・・・。」










シン「いただきます。」

ユウナ「はい・・・。(なんで私緊張してんだろ・・・・。) 」


シンがおいしそうにホットドックにかぶりつく。


シン「お前さ・・・。」

ユウナ「え?」

シン「最近よくここ来るよな。」

ユウナ「会社近くて・・・。たまにお昼食べに・・・。」

シン「そっか。てかお前、ユウナだよな。」

ユウナ「覚えてたの?」

シン「忘れるかよ。小さい頃家が近所でよく遊んだだろ。」

ユウナ「うん。シンはここでなにしてるの?」





 


シン「俺も大学が近くて、授業ないときはここに来てんだ。」

ユウナ「子犬と遊んでるとこみかけたよ。」

シン「かわいいだろ。あいつ母犬が事故で死んだんだよ。」

ユウナ「え・・・?」

シン「先月、車にはねられるとこ見ちゃって。病院連れてったけどもうだめだったんだ。」

ユウナ「そうなんだ・・・・。」

シン「だからえさあげに来てんだ。」

ユウナ「・・・・シン、夕方ここにいる?」

シン「いるけど・・・。」

ユウナ「私もう休憩時間終わっちゃうから、夕方またここで会わない?」

シン「・・・いいよ。」




 


仕事が終わって公園にやってくると、シンがいた。
二人はベンチに腰掛ける。


ユウナ「ごめんね。なんか懐かしくなっちゃって。」

シン「あぁ。」


ユウナ「大学ではお昼とか食べないの?」

シン「大学に友達いないし。」

ユウナ「そうなんだ・・・?」

シン「合うやついないしな・・・。」

ユウナ「そっか・・・。」








ユウナ「あのこ、飼わないの?」

シン「ロッキーのこと?」

ユウナ「ロッキーっていうの?」

シン「俺が勝手につけてるだけだけどな。俺大学の寮に住んでるから犬飼えないんだ。」

ユウナ「そうなんだ?」

シン「寮出て飼いたいのはやまやまなんだけどさ・・・。」




 



ユウナ「うちに来ない?」

シン「え?」

ユウナ「あ、うちね、私今一人暮らしなんだけど、前は弟と一緒に住んでて。最初から二人で住むつもりで借りた家なんだけど弟が彼女できたら同棲はじめちゃったの。」

シン「・・・・。」

ユウナ「私も一人で住むにはちょっと家賃高いし引っ越そうかルームシェアの相手探すか迷ってたところで。」

シン「へぇ・・・。」




 


ユウナ「ペット可の一軒家だし、もしよかったらルームシェアしない?」

シン「・・・・そうだな。」

ユウナ「今度うち見に来る?」

シン「うん。・・・・見てから決めてもいいか?」

ユウナ「もちろん。とりあえずロッキーは私が預かるね。」

シン「あぁ。頼む。えさ代は払うから。」

ユウナ「べつにいいよ、そんなの。」







その日ロッキーを家に連れ帰った。


ユウナ「ロッキー。」

ロッキー「ワン!」


野良犬のわりに人懐こい。
すぐにユウナにもなついた。







ユウナ「ロッキー、ご飯だよ~。」

















ユウナ「はぁ~・・・・。」


ソファーに座ってため息を漏らす。








 


ユウナ「 (私、なんであんなこと言っちゃったんだろ。自分でもびっくり。あの、シンだよ?) 」











 


ユウナ「 (でもなんか寂しそうに見えたんだよね・・・。シン、友達いないみたいだったな・・・。クレアと別れてからシンもいろいろあったのかな。なんか・・・・最後に見たときと雰囲気も変わってた。前はもっと怖い目してたのに・・・。) 」














寝る前にベッドに入ってもう一度考えていた。


ユウナ「 (もう言っちゃったもんはしょうがないよね。ロッキーだって引き取っちゃったし。) 」








 


ユウナ「 (シンも大人になって更生したかもしれないもんね。悪い人には見えなかったし。まぁ大丈夫かな?) 」