恋のはじまり



 


BiBi撮影所。
撮影が終わり、メイク室からアイビーが出てきた。


アイビー「お疲れ様でした~。」

ロミオ「おう。お疲れさん。」












 



アイビー「コーヒーですか?私やりますよ。」

ロミオ「いや、いい。お前も飲むか?」

アイビー「はい。」

ロミオ「座ってろ。」












 



アイビーがソファーに腰掛ける。
スタジオ内にコーヒーの香りが広がる。


アイビー「ロミオさんのおうち、本がたくさんありましたね。」

ロミオ「あぁ。趣味がそれくらいしかないからな。」

アイビー「本好きなんですか?私もです。」

ロミオ「そうなのか。」












 



ロミオがコーヒーをテーブルに置いてソファーに座る。


アイビー「どういうの読むんですか?」

ロミオ「なんでも。推理小説も好きだし、エッセイとかノンフィクションも好きかな。自己啓発系は読まねぇけど。」

アイビー「あ、私も。」

ロミオ「意外だな。お前は漫画とかかと思った。」












 


アイビー「漫画も好きですよ。絵本とかも好きだし。でも小説が一番多いかな。」

ロミオ「ふぅ~ん。」

アイビー「好きな作者とかは?」

ロミオ「なで肩、かな?」

アイビー「え~!意外w」












 


ロミオ「そうかもな。恋愛物だしな。」

アイビー「ああいうの読まないかと思ってました。」

ロミオ「そうでもないぞ。」

アイビー「私全巻持ってますよ?」

ロミオ「マジで?あれ持ってるか?処女作のやつ。」












 


アイビー「もちろんありますよ~。」

ロミオ「貸してくれ。ずっと探してるのにないんだよ。」

アイビー「いいですよ~。今度持ってきますね。」

ロミオ「お前もう仕事上がりだろ?これから送ってくから貸してくれよ。」












 


アイビー「え?いいんですか?」

ロミオ「おう。俺ももう明日にまわすことにする。」

アイビー「遅くなっちゃいましたもんね。」

ロミオ「これ飲んだら帰るか。」

アイビー「はい。」












 


ロミオの車で二人はアイビーたちのシェアハウスに着いた。
階段をあがる。


アイビー「今持ってきますね。ちょっと待っててください。」

ロミオ「おう。」


アイビーがドアを開ける。












 


全員「サプラ~イズ!!」


クラッカーが鳴り響く。


アイビー「え?なに?」












 



ラトーシャ「アイビーお誕生日おめでとう!」

ララ「23歳だね!おめでとう!」

アイビー「あ・・・・・今日誕生日だったっけ?すっかり忘れちゃってた・・・w」











 



ララ「ていうか・・・・お客さん?」

アイビー「あっ・・・。」











 



ロミオ「お前、誕生日だったのかよ。早く言えよ。」

アイビー「いや、私も忘れててw」

ラトーシャ「アイビー、紹介してよ。」

アイビー「えっと、こちらカメラマンのロミオさん。ロミオさん、みんなは私の昔からの友達です。」












 



ロミオ「なんか、悪かったな。俺帰るわ。」

アイビー「え?ちょっと待っててください。すぐ本持ってきますから。」

ロミオ「いや、今度でいい。」












 


ディーン「よかったら一緒にどうですか?一人でも多いほうが楽しいし、アイビーも喜ぶと思います。」

ロミオ「しかし・・・。」

ディーン「アイビーもそのほうがいいよな?」












 



アイビー「うん。よかったら一緒に祝ってください。私の誕生日。」

ロミオ「・・・・いいのか?」

アイビー「もちろんです。」

ロミオ「じゃあ・・・・ちょっとだけ。」












 



ララ「アイビー、職場ではどうですか?この子天然だからw」

アイビー「そんなことないよ~。」

ロミオ「意外にしっかりやってる。こいつ、カメラの前に立つと表情が変わるから。」

ララ「表情?」

ロミオ「うん。プロの顔つきになる。」

ラトーシャ「へぇ~。なんかかっこいいじゃん。」

アイビー「 (そんな風に見ててくれたんだ・・・。) 」












 



ララ「今月のBiBi、発売当日に買っちゃいましたよ~。アイビーすごくかっこよかった。」

アイビー「ホント?」

ララ「うん。特に透け透けのドレスの。なんか私たちの前では見せないような表情してたな~。」

ラトーシャ「うんうん。あれはかっこよかったね。すごく色気があって。」

ララ「そうそう。」

ロミオ「よかったな。」

アイビー「はい。」












 



ディーン「アイビーはあんまり仕事の話、家ではしなかったんですよ。だから家族もどうなってるのかホントは不安なところもあって・・・。」

ロミオ「家族?」

ディーン「俺、アイビーの双子の兄です。」

ロミオ「双子だったのか。」

アイビー「はい。」

ロミオ「へぇ~。君はモデルはやらないのか?」












 



ディーン「いえいえ。俺にはそういうの向いてないんで。俺は父の跡をついで医者を目指しています。今はまだ研修医ですけどね。」

ロミオ「お父さんが医者か。どうりで・・・。」

ディーン「え?」

ロミオ「いや、こいつみてて箱入りだろうな~と思ってたから・・・。」

ディーン「はははっ。なるほどw」

ロミオ「ほかのみなさんはなんのお仕事を?」












 



アイビー「ララは警官で、ラトーシャはコックさんです。」

ララ「警官といっても私は法医学分析官をめざしてるので途中経過って感じですけどね。」

ロミオ「たしかに。あんまり警官っぽくはないかな。」

ララ「ふふっ。よく言われますw」











 



ローガン「俺は弁護士です。まだ下っ端ですけど。」

ロミオ「へぇ~。みんなしっかりした仕事に就いてるんだな。」

アイビー「ロミオさんだってしっかりした仕事ですよ?」

ロミオ「そうか?世間じゃカメラマンっていうとチャラくみられるせいかあんまりいい顔しないけどな。」











 



アイビー「そんなことないです。カメラ構えてるときのロミオさん、すごくかっこいいですよ。」

ロミオ「ありがとう。」

アイビー「はい・・・・。」

ララ「 (この二人・・・。) 」

ラトーシャ「 (なんかいい感じじゃない?w) 」












 



ロミオが先に帰ることになったのでアイビーが玄関まで送った。












 



アイビー「今日はありがとうございました。」

ロミオ「いや、こちらこそ。ご馳走様。」

アイビー「すいませんでした。なんか無理矢理引き止めちゃって・・・。」












 



ロミオ「楽しかった。お前がなんでそんな風なのか、わかる気がする。」

アイビー「え?」

ロミオ「いい環境に生まれ育ったんだな。」












 



アイビー「はい。みんないい人たちばっかりです。」

ロミオ「よかったな。本サンキューな。」

アイビー「いいえ。返すのはいつでもいいのでゆっくり読んでください。」

ロミオ「おう。そうさせてもらう。じゃあ。」












 



アイビー「お疲れ様でした。おやすみなさい。」

ロミオ「おう。おやすみ。」


ロミオが立ち去る。













 
















 

















 



ディーンとローガンが帰ったあと、3人だけでコーヒーを飲む。


ララ「アイビー、いい感じだったわよ?」

アイビー「え?」

ララ「ロミオさんと。」












 



アイビー「そんなこと・・・。」

ララ「気になってたりするんじゃない?」

アイビー「・・・・わかんない。」

ラトーシャ「わかんないってなによw」

アイビー「ずっと恋してなかったから・・・・よくわからなくて。」

ララ「そうなの?」












 



ラトーシャ「ララはどうなの?最近帰り遅いときあるけど。」

ララ「あら?バレてたのねw」

ラトーシャ「バレないわけないでしょw 一緒に住んでるんだから。彼氏できたの?」

ララ「彼氏ではないのよ。まだね。」












 



ララ「デートしてまだ3回目くらいかな。」

アイビー「へぇ~。どんな人なの?」

ララ「素敵な人よ。大人だし、誠実で紳士的で。」

ラトーシャ「仕事なにやってる人?」

ララ「サラリーマンよ。」

ラトーシャ「へぇ~。いいね。」












 



アイビー「ララはその人のこと好きなの?」

ララ「えぇ。惹かれてるのはたしかね。」

アイビー「つきあうの?」

ララ「私から告白する勇気はないから・・・彼の告白待ちってところかしら。」

アイビー「付き合えるといいね。」

ララ「アイビーもね。」

アイビー「私は・・・。」












 


ララ「まだジーンさんのことひきずってる?」

アイビー「ううん・・・・。もう6年以上も前だし・・・・さすがに。」

ララ「そうよね。そろそろ新しい恋してみてもいいと思うわよ、私は。」

ラトーシャ「あたしもそう思う。」

アイビー「・・・・うん。」