モデルの仕事



 


ここはブリッジポートの一軒家。
アイビーとララとラトーシャの3人は大学を卒業後、この一軒家を借りてルームシェアしている。
アイビーは高校時代からはじめたモデルを大学卒業後も続けていた。
ラトーシャは高校を卒業後、専門学校を出て現在はコックとして働いている。
ララは大学を卒業後、警察キャリアの道を進んでいる。


ララ「朝からため息なんかついて、どうしたの?」

ラトーシャ「さっきママから電話あったんだけどさ。」










 




ラトーシャ「今朝弟が生まれたんだって。」

ララ「え?そうなの??おめでとう♪」

ラトーシャ「信じらんないわよ。しかも子供できたことも隠してたんだよ??」

ララ「そうなの?やっぱりちょっと言い出しにくかったんじゃない?」












 




ラトーシャ「22歳も下の弟だよ?ありえなくない?」

ララ「そう?ちょっと高齢出産だけど、がんばったじゃないの。素敵だわ。」

ラトーシャ「トビアス兄ちゃんもびっくりだよ。一緒に住んでるのに。」

ララ「ふふっ。私は一人っ子だから羨ましいわ。」

ラトーシャ「弟あげたいくらいよ。」












 




アイビー「おはよ~。」

ララ「おはようアイビー。」

ラトーシャ「おはよ。」

アイビー「二人ともなにしゃべってたの?」












 




ララ「イブおばさまがね、赤ちゃん産んだらしいのよ。」

アイビー「赤ちゃん??ホント?すごいね!」

ラトーシャ「すごくないよ。てかなんでいまさら・・・。」

アイビー「ラトも末っ子じゃなくなっちゃったねw」











 



ラトーシャ「年が離れすぎてて、きっと弟にとっては一人っ子みたいなもんだよ。」

アイビー「確かにそうだね~。名前はもう決まったのかな?」

ラトーシャ「パパがジャメルって付けるって騒いでた。」

アイビー「ジャメルくんか~。かわいい~。」












 



アイビー「会いにいくの?」

ラトーシャ「うん。週末帰ってみるよ。なにかと大変だろうし。ママはこれを期に仕事辞めるって言ってたけどね。」

アイビー「これから子育てだもんね~。大変そうだね。」

ラトーシャ「うん。トビアス兄ちゃんじゃなくてあたしが家にいてくれたら~って嘆いてたよ。」

アイビー「男の人じゃ頼りにならないもんねw」












 



ララ「私、仕事だからそろそろ出るわね。」

ラトーシャ「あぁ、うん。いってらっしゃい。」

アイビー「いってらっしゃ~い。」

ララ「行ってきます。」












 




ララの後姿を見送る。












 



ララがでかけたあと朝食をとる二人。


ラトーシャ「今日は仕事?」

アイビー「うん。」












 




アイビー「今日は事務所に来るように言われてるの。だからもうすぐしたら出かけなくちゃ。」

ラトーシャ「そうなんだ?」

アイビー「ラトは?」

ラトーシャ「あたしは午後から。」

アイビー「そっか。」












 




ラトーシャ「バイトの子なんだけど、すごくファッション好きな子がいてさ。その子、アイビーのこと知ってたよ。」

アイビー「ホント?嬉しいな~。」

ラトーシャ「ティーン誌なんてあたしらの年齢じゃもう買わないけど、アイビーも有名なんだね。」

アイビー「全然だよ~。私はまだ雑誌のモデルだけで、ショーとかには出たこともないし。」

ラトーシャ「モデルもいろいろ段階があるんだね~。」

アイビー「うん。」











 



ラトーシャ「そうそう、サイン頼まれてたんだった。お願いできるかな?」

アイビー「もちろんオッケーだよ~。」

ラトーシャ「ありがと。助かる。」














 




EAモデル事務所。
アイビーが高校時代から所属している事務所だ。
アイビーはマネージャーのアンナと一緒にエレベーターを待っていた。















 



アンナ「アイビー、社長に会ったことあるわよね?」

アイビー「はじめて両親とここに来たときに一度だけ・・・。」

アンナ「そう。もう6年前ね。」

アイビー「はい。」











 



アンナ「怖がらなくても大丈夫よ。」

アイビー「はい。」

アンナ「いい話だといいわね。」

アイビー「はい。」












 



ドアをノックする。


アンナ「社長、アンナです。」

リリィ「入ってちょうだい。」

アンナ「はい。失礼します。」













 



アンナ「社長、アイビーを連れてまいりました。」

リリィ「そう。座ってちょうだい。」

アンナ「はい。」












 
 




リリィ「久しぶりねアイビー。」

アイビー「はい。お久しぶりです。」

リリィ「あなたの活躍は知っているわ。昔ここへ来たときはまだ少女だったあなたが、今はもう立派な女性に成長したわね。素晴らしいわ。」

アイビー「ありがとうございます。」










 



リリィ「ところでアイビー、あなた今の仕事に満足している?」

アイビー「はい。ペップティーンのお仕事はとっても楽しくて充実しています。」

リリィ「でもあなたの年齢じゃもうギリギリよねぇ?」

アイビー「そうですね・・・。最年長になっちゃいましたね。」












 




リリィ「実はいまBiBiのモデルが足りないのよ。マリヤが急に辞めることになったからね。」

アイビー「BiBiですか?」

リリィ「そう。それで私はあなたをどうかと思っているんだけど。」

アイビー「私?」

リリィ「あなたは今までティーン誌だったから、一気に階段をかけあがることになるわね。BiBiは大手だし。」












 



リリィ「でも今のあなたなら十分通用すると思うの。表情もだいぶ大人っぽい顔ができるようになったし。むしろペップティーンではもうそろそろ限界だわ。」

アイビー「はい・・・。」

リリィ「BiBiからは毎年多くのモデルがショーに出たり女優業に転職したりして羽ばたいてるわ。あなたにもいいチャンスだと思うの。」












 


リリィ「どう?やる気はある?」

アイビー「はい。是非やってみたいです。」

リリィ「いい返事ね。」











 




リリィ「ペップティーンの仕事は今月いっぱいで辞めてもらうことになるわ。BiBiのほうも、さっそく明日から撮影がはじまるから今月は忙しくなると思うけどがんばってね。」

アイビー「はい。ありがとうございます。」











 



リリィ「アンナ、アイビーのスケジュールを変更してちょうだい。明日BiBiの撮影所へ案内してあげて。」

アンナ「かしこまりました。」












 




アイビー「 (新しい雑誌・・・。しかもそれがずっと憧れだったあのBiBiだなんて。) 」













 




翌日、アイビーはアンナと一緒にBiBiの撮影所を訪れた。
大手だというのに以外にこじんまりとした撮影所だ。
ペップティーンのときの撮影所より小さく殺風景だ。


アンナ「ロミオさん。こちらうちのEA社からBiBiに所属になったアイビーです。」

アイビー「アイビー・スカイブルーです。よろしくお願いします。」












 




ロミオ「あぁ。マリヤの後釜か。」

アンナ「アイビー、こちらカメラマンのロミオさん。」

ロミオ「ロミオ・グレイだ。よろしく。」

アイビー「よろしくお願いします。」











 



ロミオ「マロンたちはもう来てるから。今月はマリヤが欠けて時間もないから急いで撮るぞ。」

アンナ「はい。」












 



アンナ「アイビー、こっちよ。」

アイビー「はい。失礼します。」


二人が出て行く。












 



ロミオ「 (ティーン誌のモデルか。芋くせぇガキだな。) 」












 



アンナ「失礼します。」

マロン「はぁ~い。」












 





アンナ「マロンちゃん、クリスティーナ、うちから今度BiBiに配属になったアイビーよ。」












 




アイビー「アイビー・スカイブルーです。よろしくお願いします。」

マロン「あなたペップティーンのモデルね。」

アイビー「はい。今月いっぱいでBiBiに移ることになりました。」

マロン「僕はヘアメイクのマロン・グロスマン。マロンちゃんって呼んでね。」

アイビー「はい。」

クリスティーナ「私はスタイリストのクリスティーナ・ボウマンよ。よろしくねアイビーちゃん。」











 




アイビー「はい。よろしくお願いします。」

アンナ「じゃあ私はもう行くわね。後は大丈夫ね。」

アイビー「はい。ありがとうございました。」

アンナ「アイビーがんばるのよ。じゃあね。」

アイビー「はい。」











 



マロン「じゃあさっそくメイクからはじめるね。」

アイビー「はい。お願いします。」

マロン「そんなに緊張しなくても大丈夫よ~。ティーン誌とそんな変わらないって。」

アイビー「はい。」

マロン「もうっ。敬語はナシナシ♪」










 




マロン「アイビーちゃんは彼氏はいるの~?」

アイビー「いないで・・・いない。」

マロン「そうなの?」

アイビー「大学に通ってたからそれどころじゃなくて。」

マロン「そうなんだ~?大変だね~。」












 



アイビー「マロンちゃんは、彼女は?」

マロン「ふふっ。気づいてると思うけど僕はゲイだよ。男の人にしか興味ないんだ~。」

アイビー「やっぱりそうだったんだ?」

マロン「うん。女性誌のヘアメイクじゃなかなか男の人との出会いがないのよね~。ロミオちゃんはノンケだしw」

アイビー「そうなんだ?」

マロン「いい男なのにね~。もったいないわ。」











 



マロン「はい。できあがり♪」

アイビー「ありがとうございます。(すごいメイク・・・。どんな衣装なんだろう?) 」











 



クリスティーナ「衣装はもう準備してあるからこれを着てね。アクセは全部机の上に並べてあるわ。」

アイビー「はい。」

クリスティーナ「じゃあ着替え終わったら出てきてね。私たちは外で待ってるわね。」

アイビー「はい。」












 



二人がメイク室を出て行く。











 



アイビー「 (え~っと、衣装はこれかな・・・。) 」












 



数分後。


アイビー「 (ちょ・・・これ!?) 」












 




アイビー「 (これじゃほとんど見えてる・・・。私、こんなカッコでBiBiデビューするの・・・?BiBiはずっと憧れだったのに。) 」











 




アイビー「どうしよう・・・・。」