新居





 


ヴィクトリアとカイトの結婚式から半年が過ぎ、クレアが大学を卒業した。
卒業後、Jの元へやってきたクレアを空港まで迎えに行く。

ここはスターライト ショア。
Jの転勤先の病院のある街だ。
サンセットバレーより都会だ。


J「疲れてないか?」

クレア「大丈夫だよ。」








J「街中からちょっと離れてるんだけど、もうすぐ着くよ。」

クレア「新しい家?」

J「そう。」














クレア「どんなとこなの?マンションとか?」

J「着いてからのお楽しみだ。」

クレア「え~。」

J「ははっ。」












J「着いたぞ。」


車から降りた。










 





 


小高い丘の上に建つ白い一軒家。
周りにはなにもなく、見晴らしがいい。
ビーチアパートよりも倍以上大きい家だ。











 



クレア「(二人で・・・・ここに?) 」












 


階段を上がり、玄関に入った。













 


J「どう?気に入った?」













 


広いキッチンとダイニングルーム。
室内に噴水まである。












 



ダイニングルームの壁にはデジタル水槽。
朝にはここから明るい光が差し、一日のはじまりを告げる。











 


J「・・・・クレア?」

クレア「・・・・今日からここに・・・・二人で住むの?」

J「そうだよ。お前が大学に行ってる間、狭い家で一人暮らししてたからな。貯金はあったんだ。」








 


J「半年前にお前がアメリカ戻ったあと、この家作ったんだよ。俺は1ヶ月前から住んでるけど。」

クレア「広すぎて・・・・びっくり。」

J「そうか?俺はちょうどいいと思うけど。」







 


いきなりクレアが抱きついた。


J「おぅwww」










 



クレア「二人のために用意してくれたの?」

J「そうだよ。」

クレア「嬉しい・・・・。」







 


J「よかった。勝手に立てたから、気に入るかどうか不安だったんだ。」

クレア「すっごく素敵!」

J「実はまだあるんだ。」

クレア「え?」







 


クレアがJの腕から降りる。
Jが膝をついた。


クレア「!」

J「クレア、俺と結婚してくれ。」











Jがポケットから箱を取り出して差し出す。
眩いばかりに輝く指輪。


クレア「ホントに・・・?」

J「あぁ。早いかな?w」

クレア「ううん!」









薬指に指輪をはめる。


クレア「・・・・素敵!」

J「返事は?」






 


クレア「もちろん!私をJのお嫁さんにしてください。」

J「ははっ。こちらこそw」


クレアが抱きついた。


J「よかった・・・。」










クレア「信じられない・・・・。私、幸せすぎてこわいよ。」

J「俺も。」

クレア「もう絶対離れないからね。」

J「あぁ。一生離さない。」









 



J「やっと一緒になれる。半年間、待ち遠しかったよ。」

クレア「私も。・・・・J、愛してる。」

J「俺も愛してる。」










 


















 



その晩二人ははじめて一緒のベッドで眠った。
そして今日からは毎晩このベッドで眠ることになる。













 



森に囲まれた丘の上の家は、静かな夜を迎えていた。
虫たちとフクロウの鳴き声だけが静かに響いていた。













 


翌朝、早めに起きたクレアが朝食を用意していた。













 


Jがキッチンへやってくる。


クレア「おはよ~。」

J「おはよう。早いな。」

クレア「初日だもんね♪将来の旦那様に朝食を作ってあげなくちゃ。」

J「無理しなくていいのに。」

クレア「やりたいのw」

J「そうかw」

クレア「座って。もうできるから。」





 


揃って朝食を食べる。


クレア「おいしい?」

J「あぁ。うまい。ありがたいな、毎日ご飯作ってくれる人がいるって。」

クレア「これから毎日お作りしますわ♪」

J「楽しみだw」












J「今日は早めに帰ってこれるかも。」

クレア「ホント?」

J「夕方には帰るよ。」

クレア「じゃあその間にちょっと街に降りてみようかな。」

J「おう。大きい街だから、迷子になるなよw」








 


クレア「J、猫飼いたいんだけど・・・・。」

J「猫?」

クレア「ダメ?」

J「ダメじゃないけど。なんで猫なんだ?」

クレア「好きなの。それにこの広い家に一人じゃ寂しいし。」

J「たしかにそうだな。じゃあ週末ペットショップでも見に行くか。」

クレア「うん!」





 



出勤するJを玄関の外まで見送りに出た。












 



クレア「いってらっしゃいのチューしよ?」

J「子供が見てるぞw」

クレア「これから毎日見られるんだからw ほらっ、早くしないと遅刻しちゃうよ」

J「うん・・・・。」








 



新聞配達の子供「 (長いなw) 」
















 



J「ただいま~。」


夕方になりJが仕事から帰ってきた。













J「どうしたんだ、その猫。」

クレア「あ・・・・あのね、玄関前に野良猫が遊びに来てね。」

J「それがその野良猫?」

クレア「うん・・・・。」










 


クレア「とってもかわいくておりこうさんなの!」

J「飼いたいのか?」

クレア「・・・・うん。」

J「ペットショップのじゃなくてもいいのか?」

クレア「全然。むしろわざわざ買うより野良猫か保健所の猫がいい。」

J「そうか。お前がいいなら俺はかまわないぞ。」

クレア「ホントに?」

J「あぁ。」






 



クレアが抱きつく。


クレア「ありがと~!!J大好き!」

J「おいおいw 単純だなw」

クレア「明日病院連れてって注射とか打ってくるね!」

J「あぁ。」







 



クレア「もう名前も決めてあるの!タマっていうんだよ♪」

J「タマ?」

クレア「そう!かわいいでしょ?」

J「そりゃまた古風な名前だなw」

クレア「変なキラキラネームより全然かわいいと思って!」

J「まぁ、確かに。」


こうして二人と1匹の生活がはじまった。