好きな人



 


放課後、アイビーは2年生の男子に呼び出されていた。












 


2年生「俺、サッカー部のジョン・ターカーって言います。」

アイビー「はい・・・・。あ、私はアイビー・スカイブルーです!」

2年生「うん。知ってる。」

アイビー「あ、そうでしたか・・・。」

2年生「アイビーさんは、彼氏とかいるの?」

アイビー「え?彼氏?」

2年生「もしよかったら、僕と付き合ってくれないかな?」






 


アイビー「あ~・・・・・その・・・・・ごめんなさい。」

2年生「好きな人いるの?」

アイビー「ん~・・・・好きってわけじゃないんですけど。気になるっていうか。」

2年生「そっか・・・・。」

アイビー「私なんかに告白してくれてありがとうございました。」

2年生「え?」

アイビー「いや、ちゃんと断ったほうがいいのかな~と思って。ごめんなさい、あなたとは付き合えません。でも嬉しかったです。ありがとうございました。」

2年生「うん・・・。(二回も振られた・・・・。) 」








放課後の教室内。
残っている生徒は少ない。
ララとラトーシャは一緒に帰る約束をしているアイビーを待っていた。


ララ「アイビー遅いね。どこ行ったんだろう。」








 


ラトーシャ「さっきサッカー部のターカー先輩に呼び出しくらってたよ。」

ララ「ターカー先輩ってあのエースの?」

ラトーシャ「そうそう。小さいのにエースってだけでモテてるあの人。たぶん告白でもされてんじゃないかな?」










ララ「へぇ~・・・・。」

ラトーシャ「イメチェンしてからアイビーに対する男子の態度明らかに違うよね。」

ララ「そうだね・・・。」

ラトーシャ「そりゃあんだけ地味だったアイビーがいきなり校内上位に入るほどの美女になったもんね~。こりゃ学園祭の人気投票が楽しみだわ♪」

ララ「・・・・・。」












アイビー「二人とも待たせてごめんね~。」


教室にアイビーが入ってきた。


ラトーシャ「おかえり~。やっぱ告白だった?」

アイビー「え?」






 


ラトーシャ「ターカー先輩って結構モテるんだよ。サッカー部のエースだしね。」

アイビー「そうだったんだ?」

ラトーシャ「あんた知らなかったの?」

アイビー「だって2年生なんて階違うから全然会わないよ~。なんで私のこと知ってたんだろう?」







 


ラトーシャ「休み時間に何度もあんた見に来てたじゃん。ほかのクラスの男子や先輩たちまで。気づいてないの?」

アイビー「え?そうだったの?そういえば最近廊下が騒がしいな~って思ってた・・・。」

ラトーシャ「あんたずっと本読んでるもんねw」

アイビー「意外にも学校の図書室に面白い本がいっぱいあるんだよ~。図書館もいいけど学校の図書室もハマっちゃいそうなんだ~。」

ラトーシャ「ふぅん。んで今日はアイビーんち行くんでしょ?」

アイビー「そうだったね!」

ラトーシャ「忘れるなよw」





 


ララ「私、今日は帰るね。」


ララが立ち上がり教室を出て行く。


アイビー「え?どうしたの?」

ララ「ちょっと急用思い出したから帰る。じゃあね。」

アイビー「ばいば~い。」

ラトーシャ「・・・・。」







 


アイビー「ララ、どうしちゃったんだろう?」

ラトーシャ「うん・・・・。」











 


二人はアイビーの自宅へ到着した。


アイビー「ママ今日は出かけてると思うからいないかも。」

ラトーシャ「そうなんだ?」

アイビー「うん。あがって~。ただいま~!」








 


二人はダイニングで宿題をはじめた。


アイビー「う~ん・・・数学苦手・・・・。」

ラトーシャ「そう?公式わかれば面白いよ?」

アイビー「全然面白くないよ~。」

ラトーシャ「アイビーは完全に文系だねw」

アイビー「ラトは理系だね~。2年になったらクラスはなれちゃうな。」

ラトーシャ「うちの学校2年から文系と理系で分かれるもんね~。ララも理系かな~?」





 


アイビー「そういえばララ、さっきちょっと変だったよね?機嫌悪くなかった?」

ラトーシャ「あ~、うん。」

アイビー「なにかあったの?」

ラトーシャ「アイビーが先輩に告られたからでしょ?」

アイビー「え?」





 


ラトーシャ「ララはなんでも一番じゃん。成績だって、美人だからモテるし人気あるし。それが急にアイビーが注目されだして焼いてるんだよ。」

アイビー「え~、でも別に私は誰のことも好きじゃないよ?」

ラトーシャ「そういう問題じゃないんだよ。」

アイビー「う~ん・・・・。私は急に周りの目が変わって戸惑ってるんだけどな・・・。」

ラトーシャ「そうなんだ?」

アイビー「だっていままで誰も私のことなんて知らなかったのに、急にちょっと外見が変わっただけで告白してくるのも、なんか見た目だけで選ばれてるみたいですごく嫌だし。」





 


ラトーシャ「確かにね~。」

アイビー「う~ん。ララに謝ったほうがいいのかなぁ?」

ラトーシャ「なんであんたが謝るのよw ほっとけばいいのよ。勝手に嫉妬してるだけなんだから。」

アイビー「そうかな~・・・・。」

ラトーシャ「あんたが謝ったりしたらよけいララのプライド傷つくってw」

アイビー「そっか~・・・そうだよね~。」





 


ディーン「おっ。ラト来てたのか?」

ラトーシャ「おかえり~。お邪魔してるよ。」

ディーン「宿題済んだのか?」

ラトーシャ「あたしは今終わったとこ。」

アイビー「え?ラトもう終わったの??早いよ~。」






 


ラトーシャ「ディーン、どっか寄って帰ったの?」

ディーン「あぁ。部活入ろうかな~って思っていろいろ見てきたとこ。」

ラトーシャ「ふぅ~ん。いいのあった?」

ディーン「いや~、微妙w」

ラトーシャ「あんた体育会系ってノリじゃないもんねw」

ディーン「そうなんだよ。体育会系はちょっと無理かな~って思って諦めたw」

ラトーシャ「あはは。」




 


ディーン「ラト、宿題終わったんならゲームしない?兄ちゃんが新しいソフト買ったんだ。」

ラトーシャ「やる~。」

アイビー「ちょっと待ってよ~。」

ラトーシャ「遅いよアイビー。あとからおいでよ。」

アイビー「うん・・・。あとで参加するからね!」

ディーン「はいはいw」




 


2階へ上がる二人。


ラトーシャ「そっちネオ兄ちゃんの部屋でしょ?勝手に入っていいの?」

ディーン「今日出張でいないから大丈夫♪」

ラトーシャ「そうなんだ?」







 


二人はテレビゲームを始めた。
カーレースのゲームだ。


ディーン「いいよな~。長男は一人部屋で。」

ラトーシャ「ディーンはレオン兄ちゃんと同じ部屋だもんねw」

ディーン「アイビーだって女だからって一人部屋だぜ?ずるくない?」

ラトーシャ「仕方ないよ~。女の子はいろいろあるんだから。」

ディーン「男だっていろいろあるっつうの。」

ラトーシャ「私も女一人だから一人部屋だな~。トビアス兄ちゃんはデヴォン兄ちゃんとダーリル兄ちゃんが家でたからようやく一人部屋だって喜んでるよw」






 


ディーン「それまで3人部屋?」

ラトーシャ「そうだよ~。しかも2段ベッドw」

ディーン「うわ~。狭そ~w」

ラトーシャ「机置くスペースないからねw」

ディーン「女はずるいな~。」







 


ラトーシャ「そういえばさっき流したけど、男のいろいろってなによ?w」

ディーン「野暮なことを聞くもんじゃないよ、ラトさん。」

ラトーシャ「あははw 大変だねぇ二人部屋は。」

ディーン「ホントだよ。兄ちゃん早く一人暮らしはじめてくんね~かな~。」

ラトーシャ「ネオ兄ちゃん彼女いないの?」

ディーン「いないみたいだよ~。女っ気ないぞw レオンはモテるみたいだけど。」

ラトーシャ「次男は社交性あるからね~。」






 


ディーン「俺ちょっとトイレ。」

ラトーシャ「トイレでなにすんの?w」

ディーン「おいっ。お前じゃムラムラしね~よ!」

ラトーシャ「あははっ。いってらっしゃ~い。」













ディーンと入れ違いにレオンが部屋に入ってきた。


レオン「よぉ。」

ラトーシャ「おかえり~。お邪魔してます。」

レオン「俺も参加するぜ~。」







 

ラトーシャ「レオン兄ちゃん、モテるらしいね~。」

レオン「まぁな。サッカー部だしな。」

ラトーシャ「今日アイビーがターカー先輩に告られてたよ?」

レオン「マジかw あいつはやめとけ。腹黒だから。」

ラトーシャ「うん。断ってた。」

レオン「そうか。お前は相変わらずあいつのこと好きなのか?」

ラトーシャ「え?」





 


レオン「お前もホント長いな~。幼稚園のころからだろ?」

ラトーシャ「・・・・。」

レオン「あいつのどこがいいんだ?幼稚園のころ、泣かされて守ってやってたのはお前のほうだったろ?」

ラトーシャ「よく覚えてるねw アイビーとディーンが泣いてて、あたしがガキ大将と戦おうとしてたらレオン兄ちゃんが助けにきてくれたんだよねw」

レオン「あのあとディーンに説教したからな。女に守られてんじゃねえっつって。」

ラトーシャ「なんかそういうところもさ・・・ほっとけないんだよね。」

レオン「ほっとけないかぁ。まぁたしかにあいつぼんやりだからな~。」

ラトーシャ「うん。」





 



レオン「告白とかしないの?」

ラトーシャ「だってディーン、あたしのこと女の子としてみてくれてないもん。振られるのわかってて無理だよ。」

レオン「そっか。あいつは女作るより男友達と遊んでるほうが楽しそうだもんな。」

ラトーシャ「うん。だからあたしも、一緒に遊んでられればいいんだ。」

レオン「なるほどね。」