それぞれの想い





 
 
  

ララとラトーシャは放課後アイビーの家に集まった。
宿題を済ませた3人はおしゃべりをはじめた。













 



ラトーシャ「ところでアイビー、この前デートしたんでしょ?どうだった?」

アイビー「あ~、うん。すっごく楽しかった!」

ラトーシャ「映画観に行ったの?」

アイビー「うん。お昼すぎに待ち合わせして映画観て~、それからジーンのおうちに遊びに行ったよ。」

ラトーシャ「いきなり家?やるじゃん。」








 


アイビー「お母さんに紹介するって言ってくれてね。お母さんすぐ仕事にでかけちゃったんだけどね。」

ラトーシャ「じゃあ家でふたりっきり??」

アイビー「うん。」

ラトーシャ「キスとかしたの?」

アイビー「うん・・・。した。」

ラトーシャ「ひゅーひゅーw」






 


ララ「・・・・。」

アイビー「でもね、付き合うとかの話はしてなかったんだ。」

ラトーシャ「そうなんだ?でもキスして家まで行ってるんだから付き合ってるよねぇ?」

アイビー「やっぱりそうなの?」

ラトーシャ「そうでしょ~。ねぇ、ララ。」

ララ「う、うん・・・・そうね。」




 


アイビー「そっか、それが気になってたんだよね。それで今日会ったときに聞いてみたの。」

ラトーシャ「つきあってるかって?」

アイビー「うん。そしたら改めてちゃんと付き合おうって言ってくれたんだ。」

ラトーシャ「よかったじゃん。いいやつだね。」

アイビー「うん。すっごく嬉しかった。」








 


ラトーシャ「まさか3人のうちで一番最初に彼氏作ったのがアイビーなんてね~。」

アイビー「そうだね。私もララが一番早いと思ってた。」

ララ「私はそんな・・・。」

ラトーシャ「ララはモテるけど厳選厳しいからね~w」

ララ「そうかしら?」

ラトーシャ「そうだよ~。」







 


アイビー「飲み物なくなっちゃったから、ポットの紅茶入れてくるね。」

ラトーシャ「うん。サンキュー。」

アイビー「ちょっと待っててね~。」

ラトーシャ「はいよ~。」


アイビーが立ち上がり、ティーポットを持って部屋を出て行く。









 


ラトーシャはララを見つめる。
ララはラトーシャの視線には気づく様子もなく、アイビーの座っていたいすをぼーっと眺めていた。










 



ララ「 (アイビーとジーンさん・・・とうとう付き合っちゃったな。私の入る隙間なんて・・・どこにもなかった・・・・。) 」












 



ラトーシャ「 (ララがジーン先輩のこと好きなのは気づいたけど・・・本人からなにも言われてないし、私が口だしするようなことじゃないよね・・・。) 」












 



ラトーシャ「じゃあまた明日学校でね。」

アイビー「うん、二人とも気をつけてね。」


玄関で二人を見送っているとレオンがやってきた。


レオン「二人とも今帰るところか?もう暗いし危ないぞ。送ってってやるよ。」








 


アイビー「ホント?そうしてくれると助かるな。」

ララ「でも悪いわ。」

レオン「いいよ。ララは家遠いから危ないだろ。ラトーシャとは反対方向なんだし。」

ラトーシャ「でも反対方向だから送るの面倒じゃない?」

レオン「俺がララ送ってやるから、ラトはディーンに送らせるよ。」





 



ちょうどそこへディーンが廊下を通りかかる。


レオン「おい。ディーンこないだ父さんに運転ならったばっかりだよな。」

ディーン「ん?そうだけど?」

レオン「お前ラト送ってってやれよ。」







 



レオン「俺がララ送ってってやるから、お前は兄貴の車でラトんちまで送ってってくれ。」

ディーン「運転ならってからまだ家族しか乗せたことないんだけど、大丈夫かな?」

レオン「大丈夫だろ。ゆっくり帰れば。ラトんちはそんなに遠くないし。」











 



ディーン「そうだね。じゃあいいよ。アイビーも一緒に行く?」

アイビー「私はママたちが帰るまでにご飯作ってないといけないから。」

ディーン「そっか。」

アイビー「二人のことよろしくね。」

レオン「あぁ、よしじゃあ行くか。」








 


レオンは母親のクレアの車にララを乗せて走り出した。
アイビーたちの家は丘の上、ララの家は海側なのでかなり距離がある。












 




レオン「今日はなんかおとなしいな。具合でも悪いのか?」

ララ「そう?大丈夫よ。」

レオン「あの二人となんかあったか?」

ララ「・・・・。」

レオン「ケンカでもした?」

ララ「ケンカなんてしてないわよw」





 



ララ「ねぇレオンさん。」

レオン「うん?」

ララ「もしもね、好きな人の恋人が自分の友達だったとしたら、どうする?」

レオン「親友の彼女を好きになったらってこと?」

ララ「そう。」







 




レオン「う~ん、俺なら告白して玉砕するかな。そんで親友にはそれを伝える。」

ララ「・・・・親友とダメになるかもしれないじゃない。」

レオン「そんなことでダメになるようならそれまでの仲だろ。」

ララ「・・・・玉砕するって、どうしてわかるの?」

レオン「う~ん、だって俺が告白してこっちに乗り換えるような女だったら、結局冷めると思うんだよね~。」






 




ララ「なるほどね・・・・。」

レオン「うん。(ジーンのことか・・・。あいつも罪な男だな。) 」










 



ディーンはレオの車でラトーシャを家まで送り届けている。
夕方のラッシュも終わった車の少ない時間帯。
二人を乗せた車はゆっくりと走っている。









 


ディーンが鼻歌を歌い始めた。
ご機嫌なようだ。


ラトーシャ「・・・・ねぇ。」

ディーン「ん?」

ラトーシャ「なんか機嫌いいね。」

ディーン「そうか?」







 



ラトーシャ「なんかいいことあった?」

ディーン「別になにもないよ。」

ラトーシャ「ふぅ~ん・・・・。」

ディーン「ふんふん~♪」

ラトーシャ「こないださ・・・。」

ディーン「うん?」

ラトーシャ「ララんち行くときに、公園でディーンみかけたよ。」







 



ディーン「そうなの?」

ラトーシャ「女の人と・・・一緒だったね。」

ディーン「あぁ。そっか。」

ラトーシャ「結構年上だよね?」

ディーン「そうだな。」

ラトーシャ「・・・・知り合い?」

ディーン「うん。あの公園で知り合って仲良くなったんだ。」

ラトーシャ「あの人のこと・・・・好きなの?」







 



ディーン「・・・・。」

ラトーシャ「もしかして・・・・付き合ってるの?」

ディーン「付き合ってはないけど・・・・好きだよ。」

ラトーシャ「そっか・・・。」

ディーン「うん。ラトは好きなやつとかいないのか?」







 




ラトーシャ「・・・・いない。」

ディーン「そっか。」











 



家の前に車を止める。


ディーン「着いたぞ。」












 



ラトーシャ「送ってくれてありがとう。」

ディーン「うん。」

ラトーシャ「疲れたんじゃない?あがってなんか飲む?」

ディーン「いや、帰ったらもう夕飯だし、帰るよ。」

ラトーシャ「そっか・・・。」








 



ディーン「じゃあまたな。」

ラトーシャ「ディーン。」

ディーン「ん?」

ラトーシャ「あの人・・・・結婚してるの?」

ディーン「・・・・うん。」

ラトーシャ「そっか・・・・。」

ディーン「うん・・・。」

ラトーシャ「・・・・・あんまり・・・・・・危ないことはしないでね。」








 



ディーン「・・・・わかった。」

ラトーシャ「おやすみ。」

ディーン「おやすみ。」









 


ディーンが立ち去り、車に乗り込んだ。













 



ラトーシャは車が見えなくなるまで見送っていた。












 





ラトーシャ「 (好きな人がディーンなんて・・・・言えるわけないじゃん・・・・。) 」