初恋



 


学習クラブに入ったララ。
今日はクラブの後も残って先生にわからないところを質問していたらすっかり帰りが遅くなってしまった。


ララ「 (この公園突っ切ったほうがうちには近道なのよね・・・。ちょっと暗いけどまだ人も多いし大丈夫かな?早足でとおり抜ければ大丈夫よきっと!) 」


怖がりのララは、周りに感づかれないように済ました顔をして公園へ入っていった。








 


ララ「 (ステージの前はちょっと明るいし人もたくさんいるじゃない。大丈夫大丈夫・・・。) 」

男の声「おい。」

ビクッ

ララ「!」















ゆっくり振り返るとそこにジーンが立っていた。


ララ「・・・っ、も~!!脅かさないでくださいよ~!」

ジーン「ごめんごめんw すました顔して歩いてるから平気なのかと思ったけど、やっぱ女だなw 」

ララ「ちょっと泣きそうになっちゃったじゃないですか・・・・。」

ジーン「ははっ。でもここ結構変なのもいるし、こんな時間に一人で歩くのは危ないぞ?なにしてんだ?」








 


ララ「学習クラブに入ってるんだけど、今日は帰りが遅くなっちゃって。」

ジーン「クラブか~。勉強熱心だな。」

ララ「ジーンさんはバイト帰り?」

ジーン「うん。」













ジーン「この公園、この前も変な事件あったらしいからな。」

ララ「変な事件って?」

ジーン「女性が襲われたりとか・・・。」

ララ「やだ・・・・。脅かすのはやめてください。」

ジーン「いや。脅かすつもりじゃなくてマジで。気をつけろよ?」

ララ「うん・・・・。」





 


ジーン「もしかして近道か?家どこなの?」

ララ「オーシャンビュー通りです。」

ジーン「そうなんだ?通り道だな。俺んちロス・スエノス通りだから。」

ララ「そうなんですか?」

ジーン「送ってってやるよ。俺も帰るとこだし。」

ララ「よかった。一人じゃ心細くて・・・・。」












二人は並んで歩き出した。
この公園はとても広く、中央広場を抜けると小道があってかなり暗くなっている。











 




ララ「バイト大変ですね。こんな時間まで。」

ジーン「将来のためだからな。好きな仕事だし、学校行くより楽しいよ。」

ララ「ジーンさんはスタイリストになるのが夢なの?」

ジーン「あぁ。小さいころからの夢なんだ。」






 


ジーン「今のうちに将来の仕事のこととか、考えたほうがいいぞ。」

ララ「仕事かぁ~。」

ジーン「夢はないのか?」

ララ「う~ん。うちはパパがカメラマンでママは政治家だけど、私はどっちの仕事にも興味ないな~。」

ジーン「へぇ~。カメラマンってモデルとか撮るの?」

ララ「ううん。風景とかが多いから旅に出てることが多いかな。」

ジーン「かっこいいな。」







 



ララ「でもパパがずっといないのは子供のころは寂しかったよ?」

ジーン「まぁな。うちも母子家庭だからそれはわかる。」

ララ「そうなんだ?一人っ子?」

ジーン「うん。」

ララ「私も一人っ子。なんか境遇がちょっと似てるね。」

ジーン「でもお前は父さんいるだろ。俺は父さんの顔もしらないんだ。」








 



ララ「そうなんだ・・・。」

ジーン「ところで、クラブっていつもこんな遅いのか?」

ララ「ううん。今日はわからないところを先生に質問してたら遅くなっちゃって。いつもはこんなには遅くならない。」

ジーン「親が心配してるんじゃないか?お前育ち良さそうだもんな。」

ララ「ふふっ。大丈夫。ママにはメール入れといたから。」

ジーン「そっか。」








 


ララ「あ、あの家がうちです。」

ジーン「なるほどな。たしかに公園突っ切ったほうが近道だな。」

ララ「うんw」

ジーン「思ったとおり。お前んち金持ちそうだなw」

ララ「両親とも実家がお金持ちなんだw」

ジーン「へぇ~。」

ララ「もう大丈夫。ありがとうございました。」

ジーン「いや、一応玄関まで送るよ。」










ネイビー・ブラウン家の玄関にたどり着いた二人。













 


ララ「あがっていって。おいしい紅茶があるの。」

ジーン「いや、俺も帰らねぇと。」

ララ「そっか。残念・・・。」

ジーン「ありがとな。」

ララ「こちらこそ。送ってくれてありがとう。」









 


ジーン「公園はマジで危ないから夜は一人で歩くなよ。」

ララ「うん。」

ジーン「じゃあな。」

ララ「おやすみなさい。」

ジーン「おやすみ。」















ララは、ジーンが見えなくなるまでその後姿を見送っていた。













 




ララ「 (周りの男の子たちとは雰囲気が全然違う。なんだか、大人っぽいなジーンさん・・・。) 」



















 


玄関を入ると母親のマリアが立っていた。


マリア「おかえりなさい。」

ララ「ただいま、ママ。」
















マリア「もしかして今の子、ボーイフレンド?」

ララ「ママ見てたの?そんなんじゃないよ~w」

マリア「あら、隠さなくてもいいのよ。あなたももう高校生だものね。」

ララ「ホントにそんなんじゃないの。あの人は学校の先輩なのよ。」

マリア「そうなの?ボーイフレンドができたらすぐママに紹介してね。ママ楽しみにしてるんだから。」

ララ「ふふっ。ママったらせっかちね。」















ララ「公園で偶然会ってね、送ってもらっただけなの。」

マリア「あの公園は夜は入っちゃだめって言ったでしょ?」

ララ「ごめんなさい。でもあそこを通るのが一番近道なのよ。」

マリア「でもあそこは事件も多いし、夜は危険なのよ。」

ララ「はい。もう通りません。」














マリア「あなたは美人だし心配だわ。やさしい言葉をかけられてもついていっちゃだめよ?」

ララ「ママ、私もう子供じゃないのよ?大丈夫だって。」

マリア「本当に気をつけるのよ。」

ララ「はぁい。わかってます。それよりママ、これからでかけるの?」
















マリア「そうだったわ。急に緊急の会議が入ってね。ちょっとママ出てくるわね。」

ララ「うん。気をつけてね。」

マリア「食事は用意してあるから一人で食べてちょうだいね。」

ララ「はぁい。」

マリア「じゃあ行って来るわね。戸締りしっかりね。」

ララ「は~い。いってらっしゃい。」









 


自分の部屋に入ったララは鏡台の前に座った。


ララ「ふぅ・・・。」














 


鏡の前の自分を見つめる。


ララ「 (ジーンさん・・・・素敵だな。彼女とかいないのかな・・・?) 」















 



ララ「 (あんな人がボーイフレンドだったら素敵だろうな。最初はきつい人かと思ったけど、話してみると大人だし。でも見た目は少年っぽくて爽やかだし・・・なんだか不思議な人。また会えたらいいな・・・。) 」















 


数日後、放課後に校舎からアイビーたち3人が揃って出てきた。


ラトーシャ「ララ、今日はクラブの日じゃないの?」

ララ「うん。クラブは火曜と木曜だけだから。」















 


ラトーシャ「そっか。じゃあ久しぶりに3人で遊びに行く?」

アイビー「行きた~い♪」

ララ「行こう行こう!夏物のバーゲンはじまってるよね?」

ラトーシャ「また服買うの~?」

アイビー「あははっ。」












横の噴水前で3人のやり取りを見ていたジーン。
立ち上がって3人に近づく。

















ジーン「アイビー!」

アイビー「あ、ジーン。」


ララとラトーシャも気づいてジーンのほうをみた。


ジーン「お前のこと待ってたんだ。」














アイビー「私?」

ジーン「今日うちの店が休みで暇だから、どっか行かないか?」

ラトーシャ「なに?デートの誘い?w」

ジーン「そっ♪」















アイビー「え?そうなの?」

ジーン「ぶっw なんだその反応www」

ラトーシャ「この子天然だからね~。んで、どうすんの?」

アイビー「でも・・・これから3人で遊ぶ予定で・・・。」

ジーン「そうなんだ?残念だな~・・・・いや~すんごい残念!俺バイト忙しくて休みあんまないんだよな~。あ~あ・・・・。」

ラトーシャ「ははっw 別にいいよ~あたしらはw」

ジーン「ホント?ありがと~w」











アイビー「ホントにいいの?」

ラトーシャ「うん。あたしはいいよ?ララは?」

ララ「うん・・・。別に・・・かまわないわよ。」

ジーン「やったね~。」

アイビー「二人ともごめんね。今度また3人で遊ぼうね。」

ララ「うん。」

ラトーシャ「楽しんできてね~w」








 



ジーン「どこ行こっか~?」

アイビー「決めてないの?」

ジーン「いや~、勝手に決めるのも悪いかと思って。でも見たい映画あるんだよな~。」


二人が遠ざかるのを見つめるララとラトーシャ。


ラトーシャ「あの二人、いい感じじゃない?」









 



ララ「・・・・。」

ラトーシャ「・・・ララ?」

ララ「あ、・・・・うん。そうだね・・・。」









 


ララ「 (アイビー、ジーンさんのこと呼び捨てにしてた・・・。いつの間にあんなに仲良くなったの?) 」













 


ラトーシャ「 (ララ・・・・もしかしてあの人のこと・・・・。) 」